2008年9月12日金曜日

逢魔が時

JR兵庫駅から和田岬線は出ている。一駅区間だけ。終点には、三菱の工場と工業高校がある。
朝と夕方の時間帯を中心に走行している。その距離、約3キロ。4分程度の乗車時間。
9月10日。青春18キップの最後の1枚を使って集金の最後、時刻は夕方6時過ぎ。
5両編成。10人くらいの乗客。通勤通学客とは反対方向だから乗客が少ないのだろう。和田岬の駅舎はホームだけ。券売器も何もない。だからといって殺風景なわけではない。
逢魔が時。夏の終わりに夕日の中に商店街があった。布団屋、総菜屋、定食屋ちいさなよろずや。時間が止まっていた。ボクが生まれ育った田舎のそれとは明らかに違うのだが、懐かしさとものがなしさが体を包む。
小さな中華店に入る。阪神―ヤクルトがテレビの中で闘っている。
「いらっしゃいませ」
おばさんが水が入ったグラスを目の前に置く。
「スタミナ定食」
女の子と男の子、そして両親。賑やかに食べている。お父さんはビール。

この仕事を始めて、24年がたった。今や専従はボク一人。何とか食っている。いろんな人に助けられながらなんとか生き抜いた。あと10ケ月で50歳になる。
最近、時間が惜しい。そう感じる。なにが出来るのだろう。何かを残せるとは思わない。人様の役にたったのだろうか。地震がない。とにかく自分らしく生きてきたのかもしれない。

逢魔が時。時間に溶け込んで静かに呼吸をしている。とにかく生きている。それでよしとしよう。

1 件のコメント: